JLREQとCSS(2)

2017/07/11

 こちらのエントリは、JAGAT XMLパブリッシング準研究会で今期の研究テーマとして、W3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)と、これに関連してVivliostyleの村上真雄さんたちが提出したW3Cメンバーサブミッション「Web技術を用いた日本語組版の現状」を取り扱っていることに伴い、会員以外の方の意見を広く求めるとともに、記録を残しておく目的で議事録をベースに補足したものを公開するものです。

 間違い、補足などございましたらご意見いただければ幸いです。なお、当ブログはコメント許可制を取っているため、反映に時間がかかります。あらかじめご理解ください。
 方針としましてはW3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)を先頭から読んでいき、各要素に対応するCSSが存在するのか、存在するとして実用段階なのか、InDesignなどの組版ソフトではどういった形で機能を実現しているのか(いないのか)、などについて見ています。なお全体に対しての包括的な説明の部分に関しては、細かな部分は次回以降にその部分の説明が出てきた時に掘り下げる、としてスルーしている箇所があります。

 なお、こちらで取り上げております各CSSプロパティはまだドラフト仕様の段階のものも多いため、今現在すぐに使えるものばかりではありません。Webブラウザで使用出来るかどうかはこちらなどでご確認ください。また、電子書籍のRSで使用出来るかどうかは、現在広範に調査した資料がありません。いずれ当研究会の活動として調査を行いたく考えていますが、しばらく時間はかかるかと思います。

JLREQ 2.6 柱とノンブル

 縦組み、横組みそれぞれの柱とノンブルの代表的配置例が示されている。ただし、DTPによるレイアウトが一般化した現在では、ここの例に留まらない様々なレイアウトが行われている。

CSS:柱とノンブル
CSS paged media module level 3で規定されている。
ノンブル、柱の表示指定は「@page{ }」の中に書く。CSSでのページ関連プロパティ指定の基本。
@page :right/@page :left
 左右ページの指定疑似クラス(pseudo-class)。
@page :first
 先頭ページ(扉など)の指定疑似クラス。
@page :blank
 空白ページの指定疑似クラス(改丁などで生じるもの)。
・@bottom-center { content: counter(page) }
 ノンブルの記述方法。@bottom-centerは表示位置指定。
・@top-center { content: “Sample Contents” }
 柱文字の記述方法。この場合は「Sample Contents」が肩文字として表示される。@top-centerは表示位置指定。
表示位置の指定はこちらを参考に。
特定ページのみノンブルを隠すのはclass名を定義して@pageで指定すれば一応可能。

JLREQ 2.6.3 柱及びノンブルの配置方式

 「柱には,両柱方式と片柱方式とがある」

CSS:複数ノンブル(時計数字と通常ノンブルetc)
Page Based Countersでスタイルを指定する
・content: counter(page, lower-roman)
 などでそれぞれのノンブルを指定してやる。漢数字などで表示させることもできる(参考)。
 なお、epub等でよく見られるように複数ファイルを通しでノンブルを振るような仕組みが現状CSSにはない。これは提言があってもよいかも。
font-feature-settings:"onum"
 ノンブルにオールドスタイル字形を使うことができる。他にもさまざまな数字の表示指定が可能。

JLREQ 3.1.1 縦組と横組で異なる約物など

 縦組と横組で形が異なる約物には、以下のものがある。
■句点類と読点類
「縦組では,句点類には,句点[。]を,読点類には読点[、]を使用する.」
「横組で使用する句点類と読点類の組合せには,次の3つの方式がある.」
 コンマ[,]とピリオド[.]を使用する
 コンマ[,]と句点[。]を使用する
 読点[、]と句点[。]を使用する.

■かぎ括弧(始めかぎ括弧[「]及び終わりかぎ括弧[」])とクォーテーションマーク(左ダブルクォーテーションマーク[“] 及び右ダブルクォーテーションマーク[”] 並びに左シングルクォーテーションマーク[‘] 及び右シングルクォーテーションマーク[’])
「縦組では,始めかぎ括弧[「] 及び終わりかぎ括弧[」] を用いる」
「横組では,始めかぎ括弧[「] 及び終わりかぎ括弧[」] に替えて左ダブルクォーテーションマーク[“] 及び右ダブルクォーテーションマーク[”] ,又は左シングルクォーテーションマーク[‘] 及び右シングルクォーテーションマーク[’] を用いる方法がある」
「ダブルクォーテーションマークに似た括弧類にダブルミニュート(始めダブルミニュート[〝] 及び終わりダブルミニュート[〟] )がある.これは,縦組専用の括弧類であり,横組では使用しない.」
※これは最近横組みでの用例が映像分野などでは見られたりする。
「ブラケット(始め大括弧[[] 及び終わり大括弧[]] )と,きっこう(始めきっこう括弧[〔] 及び終わりきっこう括弧[〕] ) ブラケット([ ])を縦組用に変形したものが,きっこう(〔 〕)である.したがって,特別な場合を除き,横組ではブラケットを使用する.」
 これは縦横の明白な使い分けが今ひとつピンと来ない。両方あるような。
 他、長音記号なども縦横でグリフ(字形)が変わる。

JLREQ 3.1.2 句読点や,括弧類などの基本的な配置方法

「読点類,句点類,始め括弧類,終わり括弧類及び中点類の字幅は,半角であるが,これらの約物が漢字等,平仮名又は片仮名と連続する場合は,原則として,それぞれの約物の前又は後ろ(中点類は,その前及び後ろ)に一定の空き量をとることで,結果として全角というサイズになる」
 カギの中のカギ、小カギはUnicodeでは分離されていない。

JLREQ 3.1.4 始め括弧類,終わり括弧類,読点類,句点類及び中点類が連続する場合の配置方法

 句読点や括弧類などの約物が連続した際の組版処理方針に関しての記述がある。このツメ処理はInDesignなどの組版ソフトでは実現できているが、ウェブブラウザや電子書籍ビューアではほとんど実現できていない(電子書籍ビューアのhontoでツメ処理の実装例が見られるが、制作者のCSS指定を反映してツメ処理を行う形ではなく、ビューア側で強制的に処理をする独自実装)。

CSS:括弧類や中点類、句読点が連続する場合などの文字ヅメ文字アケ処理
text-spacing:normal
 CSS Text Level 4で規定されている。normal指定でspace-start allow-end trim-adjacentが適用される。個々のプロパティは別々に指定もできる。
text-spacing:space-start
 段落先頭カギを全角として扱う
text-spacing:trim-start
 段落先頭カギを二分モノとして扱う
text-spacing:allow-end
 行末に句読点やカギが来た際に二分幅になることを許容する
text-spacing:space-end
 行末に句読点やカギが来た際に必ず全角幅として扱う
※W3Cの仕様書に「Set fullwidth opening punctuation with full-width glyphs (spaced) at the start of each line.」とあるがおそらく「Set fullwidth ending punctuation with full-width glyphs (spaced) at the end of each line.」の間違い(space-startと全く同じ説明文が記載されている)。
text-spacing:trim-end
 行末に句読点やカギが来た際に必ず二分幅として扱う
text-spacing:space-adjacent
 行頭行末以外の括弧類を全角モノとして扱う
text-spacing:trim-adjacent
 句読点グリフ間のスペースを縮小する(おそらく括弧と句読点が重なった際などの自動ツメ処理を指しているものと思う)
text-spacing:ideograph-alpha / text-spacing:ideograph-numeric
 和欧間の4分アケ処理指定。ideograph-alpha が英文字、ideograph-numericが数字。

JLREQ 3.1.5 行頭の始め括弧類の配置方法

 行頭括弧類の字下げ量について。以下の3つの方針がある。
「改行行頭の字下げは全角アキ,折返し行頭は行頭に空き量をとらない配置法である天付きとする.」
「改行行頭の字下げは全角半(全角の1.5倍)アキ,折返し行頭の字下げは二分アキとする.」
「改行行頭の字下げは二分アキ,折返し行頭は天付きとする」

 CSS Text Module Level 4 10.1.3にそれぞれの実現方法の記述例がある。

 CSSでの基本的方針として行末に来た全角スペースは自動で取って欲しいという要望が出た。ぶら下がりの対象文字に全角スペースを含める方式がよいのではないか。

CSS:ぶら下げ
hanging-punctuation:force-end / hanging-punctuation:allow-end
 強制的にぶら下げがforce-end、ぶら下げを許容するのがallow-endか

今回はここまで。

(2017.7.11)



JLREQとCSS(1)

2017/06/09

 こちらのエントリは、JAGAT XMLパブリッシング準研究会で今期の研究テーマとして、W3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)と、これに関連してVivliostyleの村上真雄さんたちが提出したW3Cメンバーサブミッション「Web技術を用いた日本語組版の現状」を取り扱っていることに伴い、会員以外の方の意見を広く求めるとともに、記録を残しておく目的で議事録をベースに補足したものを公開するものです。

 間違い、補足などございましたらご意見いただければ幸いです。なお、当ブログはコメント許可制を取っているため、反映に時間がかかります。あらかじめご理解ください。
 方針としましてはW3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)を先頭から読んでいき、各要素に対応するCSSが存在するのか、存在するとして実用段階なのか、InDesignなどの組版ソフトではどういった形で機能を実現しているのか(いないのか)、などについて見ています。なお全体に対しての包括的な説明の部分に関しては、細かな部分は次回以降にその部分の説明が出てきた時に掘り下げる、としてスルーしている箇所があります。

 なお、こちらで取り上げております各CSSプロパティはまだドラフト仕様の段階のものも多いため、今現在すぐに使えるものばかりではありません。Webブラウザで使用出来るかどうかはこちらなどでご確認ください。また、電子書籍のRSで使用出来るかどうかは、現在広範に調査した資料がありません。いずれ当研究会の活動として調査を行いたく考えていますが、しばらく時間はかかるかと思います。

JLREQ 2.1.1 日本語組版に使用する文字

「日本語組版に使用する和文文字では,主に漢字等,平仮名及び片仮名を使用する」
 対象とするUnicodeの符号番号も参考として記述されている。
 JLREQで使われているコードと実際の組版ソフト内で使われているコードには違っているケースがある(付属書A)。

JLREQ 2.1.2 漢字等,平仮名,片仮名

 「漢字等,平仮名及び片仮名は,正方形の文字の外枠を持っており,その文字の外枠の天地左右中央に,文字の外枠よりやや小さくした字面を持っている」
※日本語の文字の構造についての概略的な説明。
※参考リンク:モリサワフォント用語集「字面」

JLREQ 2.1.3 漢字及び仮名の配置の原則

InDesignでのフォント内情報を利用した詰め組指定

InDesignでのフォント内情報を利用した詰め組指定

 「漢字等,平仮名及び片仮名は,行に文字を配置していく際には,原則として,文字の外枠を密着させて配置するベタ組にする」
 柱や見出しなどではアキ組みを使うケースがある。
※あくまでも書籍本文組版に関しての話であることには注意するべき。広告などでは詰め組みが多い。
※参考リンク:なんでやねんDTP「「ベタ組み」について…少しだけ…」
 詰め組の方法としては均等詰めと字面詰めがある。

CSS:文字のアケ・ツメ
■通常の文字ツメ・文字アケ
letter-spacing
 追加のスペースを隣接する文字と文字の間に入れる。いわゆる手動での文字アケ・ツメ指定

■Opentypeフォント内部の情報を利用する文字ツメ
font-feature-settings: “pwid”; フォント内のプロポーショナル(文字ツメ)情報を有効にする。これは今のブラウザでも一応使える。
font-variant-east-asian: proportional-width; 日本語などのフォント内のプロポーショナル(文字ツメ)情報を有効にする。より使いやすくなるはずだが実装はまだまだ。
font-variantが上位プロパティ(フォント関係のさまざまな指定をここでまとめて指定できる)。
 なお、このツメ処理は表示フォントがプロポーショナル(文字ツメ)情報を持っていることが条件になる。従ってユーザーが表示フォントを切り替えるなどの操作を行った際に無効化される可能性はある。

JLREQ 2.2.3 基本となる組体裁の主な設計要素

 基本版面、柱、ノンブルなど組要素の概略説明。
 「日本語組版と基本版面の基本的概念を理解するためには,格子モデルよりも,大きさが基本版面の1行に相当する,いわばスリットモデルをイメージした方が理解が容易」
 日本語組版では書字方向へのスペース調整は随時行われるが、ページ進行方向のラインは不動。
※参考リンク:JAGAT 【日本語組版とつきあう 4】基本版面の設定と文字の配置

CSS:組方向
writhing-mode ※日本語の縦書きに関する部分
 horizontal-tbが横書き、vertical-rlが縦書き。
 vertical-lrはモンゴルなどで使われる。この他、「sideways-rl」、「sideways-lr」というプロパティがあるが、これは例えば縦書き文書内で特定のブロックを回転させる時などに使う。表の項目とか縦組みで大きな表を入れるときのキャプション横倒しとか。

CSS:段組
 段組に関しての各CSSプロパティの記述は以下。
段幅(段組の最適(最小)文字数指定)
column-width
段数
column-count
段間
column-gap
段間ケイ
column-rule
※なおJLREQには段間ケイに関しての記述がない模様。
※その他いわゆる段抜き見出しに関する処理の記述もあるが、そこは後日JLREQ4章で詳しくやるので今回は割愛。

JLREQ 2.3.2 縦組と横組の主な相違点

日本語の段組の段の配置方法の基本ルールや、日本語の文中に英単語を挿入するための各種の方法(正立/横転/縦中横)に関しての概略的な説明。

CSS:縦中横
text-combine-upright:all
 epub3での古いプロパティとして -epub-text-combine:horizontal などもあった(epub3規格策定時にCSSプロパティ名が正式に確定していなかったため多少の混乱がある)。
※後日JLREQの3章で詳しくやるので今回はこれだけ。

CSS:段組のなりゆきの処理
column-fill:balance/balance-all
 JLREQの見本の指定通りにするには縦組みだとauto、横組みだとbalance-all。

JLREQ 2.4.1 基本版面の設計手順

「日本語組版では,正方形の文字の外枠をベタ組にすることから,まず基本版面のサイズを設計し,そのうえで,仕上りサイズに対する基本版面の位置を決めている」
ここが大きな特色。

JLREQ 2.5.1 基本版面からはみ出す例

 (1行目の)ルビ/圏点、ぶら下がりは版面の外側にはみ出る。ここはボックスモデルを基本としてきたこれまでのCSSと根本的に異なる考え方のひとつ。
※参考リンク:Adobe Indesignヘルプページ ルビの設定方法(InDesign CC/CC 2014)
※参考リンク:InDesinの勉強部屋 InDesign1.0 No.66 圏点
※参考リンク:Wikipedia「ぶら下げ組み」

CSS:裁ち落とし
bleed
Webブラウザなどにはまず関係しないと思われるものだが、仕様としては提案されている。
※参考リンク:日経印刷DTPテクニカルガイド「仕上がりサイズと裁ち落とし」

今回はここまで。

(2017.6.9)



Microsoft EdgeのEPUB表示チェック

2017/04/02

 Microsoftの標準ブラウザ、Edgeが4月のアップデートでEPUB表示に対応するとのニュースがあり、Insider Preview版のWindows10環境をセットアップして表示の確認を行ってみました。
 これまで、MacではiBooksによってOSレベルでのEPUB対応ができていましたが、WindowsはデフォルトアプリでのEPUB閲覧に対応しておらず、これがファイルとしてEPUBを配布する際の障害となっていたことは否定できません。今回EdgeがEPUBに対応したことで、近い将来PDFのような気軽さでEPUBを配布することができるようになったわけです。
 さて、その表示能力はどこまでのものなのか。以下、表示チェック結果です。項目名は電書ラボEPUB制作仕様のそれに準じています。

こちらをクリックすると表示結果ページに飛びます)

 なお、テストには「Windows 10 Insider Preview Build 15058」を使用しております。これは正式リリース前のベータ公開版ですので、正式公開時には仕様の修正が行われている可能性は当然あります。あらかじめご了承ください。また、表示確認用のテストEPUBファイルとして、電書ラボで公開中のチェック用epubファイルを使いました。

文字・字形

Unicode IVSの表示に対応

Unicode IVSの表示に対応

 サロゲートペア文字、Unicode IVS(異体字セレクタ)共に対応できているようです。一部の文字が化けて豆腐になっていますが、これはMSゴシックが当該文字のグリフを持っていないことが原因と思われます。Insider Preview版では日本語フォントの切り替えができませんでしたので、ここはこれ以上はわかりません。
 また、U+2014(EM DASH)が二分幅で表示される、U+005Cのバックスラッシュが円記号「¥」として表示されるなどの挙動が見られましたが、いずれもフォントに起因する問題と思われます。

組版表現(文字)

縦中横表示に対応

縦中横表示に対応

 縦中横の表示に対応しているようです。ただし、最新の正式プロパティであるtext-combine-upright:allの指定が必要で、text-combine:horizontal、epub-text-combine:horizontal等の指定では効きません。
 なお縦中横の実装方法としては何文字であっても変形させて1em幅に入れ込む方式のようです。ちょっと不満な点としまして、半角文字1文字であっても横幅1emに変形してしまうため、かなり横長に潰れて見えます。1文字の場合には両側にスペースを入れ、1emの中央に入れる形へ仕様変更して欲しいところです。
 また、文字の正立/横転指定(text-orientation)を行った場合に、文字のサイズが異常に大きくなる不具合が見られましたが、再度テストした際には確認できませんでした。何らかの条件によって症状が出るのかも知れません。
 埋め込みフォントはOTF、WOFFに対応、TTF(TrueType)は非対応ということのようで、これはEPUB3のコアメディアタイプに合致します。いずれはTTFにも対応してもらえれば嬉しいですが、現状での対応としてはまずは妥当と言えるでしょう。
 また、部分言語指定には現状非対応のようです。日本語と中国語の混じった文書での字形の正しい表示や、日本語内の英語の正確な読み上げ等に絡んできますので、将来的には対応して欲しいところです。

組版表現(段落)

縦組みの表で表示に不具合

縦組みの表で表示に不具合

 字間アキ・ツメ指定(letter-spacing)、行間アキ指定(line-height)、段落間アキ(margin)など、基本的な指定は全て問題なく働くようです。
 tableを使用した表組みでは、複数ページにまたがる表の表示で罫線(border)が表示されない挙動が見られた他、縦組みの表が複数ページにまたがった場合に項目が重なって表示されてしまう不具合が見られました。

組版表現(ページ)

縦組み時に写真が下にはみ出す

縦組み時に写真が下にはみ出す

 page-break指定による改ページには対応しているようです。
 改丁/見開き指定(opf内spine項目でのpage-spread指定)は非対応のようで、章扉を見開きの左ページに必ず配置する、等の指定は現状効きません。
 また、本扉などで用いられる文字の左右中央指定も現状中央に文字が表示されないようです(電書協ガイドP40での記述方法でチェック)。これは電書協ガイドの参照記法自体が割とピーキーなのは否定できないので無理は言えませんが、多くのビューアで対応済みではあるので対応を期待したいです。
 囲み罫の表現ですが、通常のケースではほぼ問題がないものの、縦組み時にカコミ内に画像を配置した際に画像が下方向のpadding指定を無視してはみ出るという挙動が見られました。これはKindleのiOS版で見られるのと同じ不具合ですが、Edgeの場合は縦組みの場合のみ見られるようです。

組版表現(注・索引・コラム)

注のポップアップに対応

注のポップアップに対応

 なんと、注がポップアップされるようです(epub:type=”noteref”指定箇所のポップアップ表示対応)。ただし、注と本文が同一のXHTML内にある場合のみに限られるようで、ファイルが分かれている場合には通常のリンクとして動作します。現状注のポップアップができるビューアはEdge以外ではiBooksとKoboのiOS版のみと思いますので、ここはなかなか尖った実装かと思います。

画像

画像のサイズ指定が効かない

画像のサイズ指定が効かない

 現状透過PNG形式、透過GIF形式に非対応の模様で、全て背景色が白として表示されます。
 SVGは通常の画像として挿入する限りにおいてはほぼ表示できるようですが、複雑なパターンの部分は表示できず、黒になるようなケースもありました。
 また、現状縦組みでの画像のサイズ指定が効きません。横組みでもかなり効くケースが限られるようです。個人的な希望としましては、他のビューアとの互換性を考えるとimg要素への%指定が効くようになると嬉しいところかなと思っています。

外字画像

外字画像が異常に大きく表示される

外字画像が異常に大きく表示される

 外字画像は異常に大きなサイズで表示されてしまいます。これは明らかな不具合ですので、早急な修正が待たれます。絶対に外字が入らないと言い切れるコンテンツは日本語の電子書籍ではほぼないのが現状ですので。

目次

論理目次の階層表示に対応

論理目次の階層表示に対応

 論理目次の階層表示に対応しているようです。ルビは表示できないようですが、これは現状表示できないビューアの方が多いので仕方ないところかなと思います。

 以上ですが、最後にちょっと感心したポイントを挙げておくと、EdgeのEPUBビューアは簡単に音声読み上げができるようになっており、画面右上の読み上げボタンでEPUBの音声読み上げを体験できます。かなりアクセシビリティを意識したつくりと言えるでしょう。
 EdgeのEPUB閲覧機能は正直現時点で相当いいところまで到達しているものと思いますので、今後の継続的な改定・機能向上を望みたいところです。個人的には、スクロールモードでの表示はあってよいのではないかと思っています。

(2017.4.3)

6/8 JEPAセミナーでの調査結果を踏まえ、縦中横の挙動に関する部分の表記を修正しました。

(2017.6.9追記)



プロフィール
Jun Tajima

こちらにて、電子書籍&Web制作を担当しています。
このブログは、EPUB3をはじめとした電子書籍制作担当オペレータからの、「電子書籍の制作時にたとえばこんな問題が出てきていますよ」的な「現地レポート」です。少しでも早い段階で快適な電子書籍閲覧・制作環境が整うことを願って、現場からの声を発信していこうと目論んでおります。

当ブログ内の記事・資料は、私の所属しております組織の許諾を得て掲載していますが、内容は私個人の見解に基づくものであり、所属する組織の見解を代表するものではありません。また、本ブログの情報・ツールを利用したことにより、直接的あるいは間接的に損害や債務が発生した場合でも、私および私の所属する組織は一切の責任を負いかねます。

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