‘日本語組版’ タグのついている投稿

JLREQとCSS(4)

2017/09/04

 こちらのエントリは、JAGAT XMLパブリッシング準研究会で今期の研究テーマとして、W3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)と、これに関連してVivliostyleの村上真雄さんたちが提出したW3Cメンバーサブミッション「Web技術を用いた日本語組版の現状」を取り扱っていることに伴い、会員以外の方の意見を広く求めるとともに、記録を残しておく目的で議事録をベースに補足したものを公開するものです。

 間違い、補足などございましたらご意見いただければ幸いです。なお、当ブログはコメント許可制を取っているため、反映に時間がかかります。あらかじめご理解ください。
 方針としましてはW3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)を先頭から読んでいき、各要素に対応するCSSが存在するのか、存在するとして実用段階なのか、InDesignなどの組版ソフトではどういった形で機能を実現しているのか(いないのか)、などについて見ています。なお全体に対しての包括的な説明の部分に関しては、細かな部分は次回以降にその部分の説明が出てきた時に掘り下げる、としてスルーしている箇所があります。

 なお、こちらで取り上げております各CSSプロパティはまだドラフト仕様の段階のものも多いため、今現在すぐに使えるものばかりではありません。Webブラウザで使用出来るかどうかはこちらなどでご確認ください。また、電子書籍のRSで使用出来るかどうかは、現在広範に調査した資料がありません。いずれ当研究会の活動として調査を行いたく考えていますが、しばらく時間はかかるかと思います。

JLREQ 3.1.10 g 分割禁止

 改行による泣き別れを抑止する文字についての記述。
 gは「ルビ」について。ルビ文字と親文字はバラさない。モノルビは親文字単位ではバラしてよい。グループルビは全体を分割禁止する。ルビ自体に関しては後で詳しくやるのでここではこれまで。
 i 添え字。これも添え字と親字の分割は禁止。
 j 注の合印の分離禁止。HTML的にはa要素で合印を囲む形になるか。CSSでwhite-space:nowrapで合印内を分割禁止にできる。

 また、「○○(1)」のようなパターンでCSSを用いて合印とその直前の文字との間を分割禁止にするには、CSS Text Module Level4で論議中のwrap-before:avoidが使えるようになれば可能になるはず。

 あるいは現状で使える方法として、ノーブレークスペース( )を入れてもよい。また、U+2060(Word Joiner)も同様の効果を持つはずだが、こちらは一般的な日本語フォントにはコードポイントの割り当てがないようだ。

JLREQ 3.1.11 行の調整処理で​字間を​空ける処理に​使用しない箇所

 文字のアケ処理について書いてある項目。空けすぎてはいけない部分などに関しての記述がある。「行の調整処理の際に,字間を空けて処理する場合,次の字間には空き量を入れることは避ける(分離禁止ともいう)」とある。分割禁止分離禁止の用語の違いに注意。
 「規定された調整処理では処理できない場合に限り,欧字の単語の字間を空けることを許容する考え方もある」とあるが、欧文組版では組版調整に単語の字間を真っ先に使うのが普通。ここは昔ながらの欧文の字間は3分アキとしてきた日本の活版の慣習が残っている部分か。

 「b. 上記以外では,次も行の調整処理で字間を空ける箇所としては避ける. 1. 始め括弧類(cl-01)及び終わり括弧類(cl-02)の前及び後ろ.」
 ここは表記がちょっと不明瞭か。始め括弧類の後、終わり括弧類の前、ではないか。直後の注で補足してあるが。

JLREQ 3.1.12 行の調整処理例

 ツメ処理、アケ処理の具体的な適用例の記述がある。
 なお、CSS Text Module Level4で議論中の「text-spacing」「no-compress」を指定すると、justificationでのツメ処理をしない。これを指定しないと文字ツメ処理が行われる。
 このあと3.8で文字ツメに関してはより詳しくやるのでここではここまで。

JLREQ 3.2.1 和文と欧文との混植

 日本語の文章内に欧文の文字を入れる際のバリエーションに関する記述がある。大別すると全角の文字を使っての正立表示、欧文の文字をそのまま入れて横転表示、数字などで使われる縦中横の3種類がある。

JLREQ 3.2.2 横組の和欧文混植に用いる文字

 「なお,欧文間隔は,三分アキを原則とする.」との記述があるのだが、ここは本来はそれぞれ欧文フォントが持つスペースのプロポーショナルな幅に従うべきとの意見が出た。この記述自体は古い日本の活版のルールが起源だと思われる。伝統的なルールの記録という意味でJLREQにこの記述があることは間違っていないが、現時点でそれに盲従すべきでもないと考える。

CSS:数字の字形の種類の指定
 font-variant-numericは数字の字形の指定項目。Old-StyleTabuler(等幅)Lining(高さが揃う)などが指定できる。ただし、もちろんフォント側がそのバリエーションを持っている必要はある。minionやGaramond Proなど新しいフォントは情報を持っているはず。例えばCentury OldStyleなどは作られた時期が古いため、こういったバリエーションは持っていない。

JLREQ 3.2.3 縦組の和欧文混植に用いる文字

 「プロポーショナルな文字を用い,全角のスペースに正常な向きにして配置する方法もある.」との記述があるが、「正常な向きにして」はちょっと表現的にどうだろうか。「正立させて」あたりが順当だと思う。雑感だが何を持って正常とするのかという宗教論争に発展しかねないと思う。

CSS:文字の正立/横転
 text-orientationで指定できる。uprightで正立、sidewaysで横転。段落全体に対して指定もできる。なお、関連する話として、UTR#50で論議されてきた縦書き時の文字の向きの既定値の話がある。これは最近Unicode10.0.0に正式に規格として入った。今後Webブラウザではこれをベースに何も指定しなかった際の文字の正立/横転の向きが決められるものと思われる。ただし、InDesignやWordなど、既存のアプリとの文字の向きの差異はずっと残ると思われる(過去のデータの互換性を考えると簡単に変更はできない)。

CSS:縦中横
 EPUB3策定前後でプロパティ名が目まぐるしく変わった項目。今の正式プロパティはtext-combine-uprightだが、昔はtext-combineでそのあとtext-combine-horizontalになっている。多くのRSでは古いプロパティでも縦中横になるが、今後はtext-combine-uprightを指定しておくのがもちろん正しいと思う。
 なお、text-combine-uprightでは単純に指定範囲を縦中横にする指定、「text-combine-upright:all」以外に、いわゆる自動縦中横の対応として「text-combine-upright: digits 2」といったような指定も可能になっている。ただしまだ数字の縦中横のみが想定されており、アルファベットや小数点はは範囲外。今後の提案と拡張が必要と思われる部分か。

JLREQ 3.2.4 全角のモノスペースの欧字及び​全角の​モノスペースの​アラビア数字の​配置方法

 図100に関連して「全角のモノスペースのアラビア数字の途中に小数点として中点[・] (KATAKANA MIDDLE DOT)を用いる場合は,漢数字の場合と同様に,原則としてその前後をベタ組とする.」とある。これは組版調整ありきで固定された版面をつくるための方法を記録したJLREQの記述としては良くわかるのだが、Webや電子書籍など組版調整が難しい分野でその中点が小数点なのかそうでないのかを自動判別して処理するのは難しそうである。「二、三点」などの場合に用いられる読点のベタ処理も同様。InDesignにはここの処理のために「連数字処理」というチェック項目があるが、組版処理的な弊害もあるため一律に使っておけば良いというものでもなく、難しそう。

JLREQ 3.2.5 縦中横の処理

 Opentypeのフォントは等幅半角字形、等幅3分字形、等幅4分字形などの情報を持っている。これらは縦中横組版の際に綺麗に1文字の幅に数字やアルファベットを収めるために作られたと思われるもので、InDesignでは字形パレットを通じて文字種を切り替えることができる。CSSではまだ十分に整備はされていないが、font-feature-settingsでOpenTypeのプロパティを直接指定すれば切り替わるかもしれない。等幅半角字形のプロパティは「hwid」、等幅3分字形は「twid」、等幅4分字形は「qwid」。ただし表示フォント側がそれに対応する字形の情報を持っていなければ当然適用はされない。ちょっと見てみた感じでは、一般的なAdobe-Japan1規格の日本語フォントでは、数字は等幅4分字形までの情報を持ち、英文字は等幅半角字形までの情報を持っているようだ。その他かな/カナも等幅半角字形にすることができそう。

CSS:縦中横でたくさん文字が入った場合の圧縮ルール
CSS Writing Modes Level 3に 「9.1.3 Compression Rule」として、縦中横でたくさん文字が入った場合の圧縮ルールの規定がある。それによれば、CSSでは全体で1emに収めることを規定している。ここはJLREQとは違うが、後から手動で組版調整ができないWebの特質を考慮すれば妥当と思う。また、表示フォント側にhwid、twid、qwidの情報がある場合はそれを使うことというような規定もある。なければ変形してどうにか1emに押し込む、という方針のようだ。

JLREQ 3.2.6 プロポーショナルな​欧字を用いた​和欧文混植処理

 「b.追込み処理で字間を詰める場合,その処理対象として欧文間隔を優先的に使用し,追出し処理で字間を空ける場合も,その処理対象として欧文間隔を優先的に使用する.」
 ここでは和欧間のスペースは3分という前提なら多少ツメてもよいだろうが、JIS X 4051の規定では和欧間のスペースは4分であるため、それを踏襲するのであれば4分よりもツメるのはツメすぎではないか、という意見が出た。なお現状Webや電子書籍などでは和欧間は自動で空かないが、将来的にはCSSでtext-spacingで自動でアキが入ることが期待される。

 今回はここまで。次回はJLREQ 3.3から

(2017.9.5)

JLREQとCSS(3)

2017/08/04

 こちらのエントリは、JAGAT XMLパブリッシング準研究会で今期の研究テーマとして、W3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)と、これに関連してVivliostyleの村上真雄さんたちが提出したW3Cメンバーサブミッション「Web技術を用いた日本語組版の現状」を取り扱っていることに伴い、会員以外の方の意見を広く求めるとともに、記録を残しておく目的で議事録をベースに補足したものを公開するものです。

 間違い、補足などございましたらご意見いただければ幸いです。なお、当ブログはコメント許可制を取っているため、反映に時間がかかります。あらかじめご理解ください。
 方針としましてはW3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)を先頭から読んでいき、各要素に対応するCSSが存在するのか、存在するとして実用段階なのか、InDesignなどの組版ソフトではどういった形で機能を実現しているのか(いないのか)、などについて見ています。なお全体に対しての包括的な説明の部分に関しては、細かな部分は次回以降にその部分の説明が出てきた時に掘り下げる、としてスルーしている箇所があります。

 なお、こちらで取り上げております各CSSプロパティはまだドラフト仕様の段階のものも多いため、今現在すぐに使えるものばかりではありません。Webブラウザで使用出来るかどうかはこちらなどでご確認ください。また、電子書籍のRSで使用出来るかどうかは、現在広範に調査した資料がありません。いずれ当研究会の活動として調査を行いたく考えていますが、しばらく時間はかかるかと思います。

JLREQ 3.1.4 始め括弧類,終わり括弧類,読点類,句点類及び中点類が連続する場合の配置方法

 例えば『」「』(閉じカギと開きカギが連続する場合)の間のスペースは前の文字に付くスペースなのか後ろの文字に付くスペースなのか。どちらに付くのかで例えば文字を拡大したときの挙動が変わる。

 これに対して次のような意見が出た。
 「どちらにつくものでもないので、(CSSの規格やRSの実装としては)前後の文字を二分モノと考えて、適宜スペースを挿入するという考え方もありではないか(小林さん)。」
 「適宜スペースを挿入してゆくとどこまでも字間が開いてしまうので、最大値を定めるのもありかもしれない(木枝さん)。」
 私個人の意見としては、現状「版面(というべきかどうか)のサイズを本文文字サイズの整数倍にする」というベタ組みの基本ルールが規格化されていないわけで、それを抜きにして個々の箇所のツメを厳密に決めてもほとんど意味がないと思っている。もし今後も当面ベタ組みの規格化が望めないのであれば、小林さんの案のようにスペースをある程度フレキシブルに伸縮できるものとするのがよいのではないか。その上で木枝さんの話のようにスペースによる調整量にリミットを設け、リミットを超過した場合には文字間を割って調整する形にするのがよさそう。

JLREQ 3.1.6 区切り約物及びハイフン類の配置方法

 「文末にくる区切り約物(疑問符・感嘆符)の前はベタ組とし,区切り約物の後ろは全角アキとする(図73).ただし,区切り約物の後ろに終わり括弧類がくる場合は,この字間はベタ組とし,終わり括弧類の後ろを二分アキにする」
 !?の後のスペースが行頭に送られて字下げにならないように全角スペースのぶら下がりを許容するべきではないか、という意見が出ていた。

JLREQ 3.1.7 行頭禁則

 JLREQ本文には「終わり括弧類,ハイフン類,区切り約物,中点類,句点類,読点類,繰返し記号,長音記号,小書きの仮名及び割注終わり括弧類を行頭に配置してはならない(行頭禁則).これは体裁がよくないからである.」とあるが、注の表記内でさまざまなバリエーションを記述してある模様。
※ベタ組みの横のラインの保持を優先し、長音記号や小書きの仮名の行頭配置を許容する考え方もあるよう。これは歴史のある出版社に多く見られるルールのようだ。

CSS:禁則
CSS Text Module Level 3 5.3. Line Breaking Rules: the line-break property
禁則に関しての規定。autoでは本来は一行文字数に応じて徐々に緩い禁則になる実装が期待されるが、実際にはあまりそういった実装はされておらず、Normalとほぼ同義になっているものと思われる。

JLREQ 3.1.9 行末に配置する終わり括弧類,句点類,読点類及び中点類の配置方法

 「行末に配置する終わり括弧類(cl-02),読点類(cl-07)及び句点類(cl-06)は,その後ろを原則として二分アキとする(図76 ).」

 「(活字組版時代は,次の考え方が主流であった(図78 ).として)行長に過不足が発生し,行の調整処理で詰める処理の必要がある場合(3.8 行の調整処理を参照),優先的に句点類,読点類及び終わり括弧類の後ろの二分アキをベタ組にする.これは,行末でもあり,これらの後ろの二分アキがベタ組になってもほとんど問題にならないからである.なお,この二分アキを中間的な四分アキにするという方法は採用されていなかった.二分アキ又はベタ組のいずれかを選択する,ということである.また,行の調整処理で詰める処理が必要な場合,句点類,読点類及び終わり括弧類の後ろの二分アキより優先順位は低くなるが,中点類の前後の四分アキをベタ組にする.」
※「そもそも活字の時代には全角の中黒しかなかった」とのこと。必要に応じて削っていたそう。そういった対処が必要だったことが、ツメ処理の優先順位で中点類がカギ類などより後になっていることに影響しているのではないか。
※JLREQはあくまで活版ペースでの記述なので、長体平体の記述はない。おそらく写植起源のため。

「DTPなどでは,行末に配置する句点類,読点類及び終わり括弧類のすべての後ろをベタ組とする処理法も行われている(図79 ).」
これに対応するCSS指定がtext-spacingの「trim-end」。なお、「no-compress」という指定もあるが、これは後日JLREQ 3.8.2に関連して触れる予定なのでここでは深掘りしない。

JLREQ 3.1.10 分割禁止

「次のような文字・記号が連続する場合は,その字間で2行に分割しない(分割禁止).これは,それらの文字・記号を一体として扱いたいためである.」
※分離禁止とは違う用語なので注意。
 JLREQでは二倍ダーシ、三点リーダ、アラビア数字の字間などの例が挙げられている。

※UnicodeでTWO-EM DASHという符合位置が規定されたのに対応して、2倍ダーシを独自グリフとして持っているフォントも出てきている(源ノ角ゴシックなど)。これは活版のグリフの再現と見ることもできそう。なお符合位置としてはTHREE-EM DASHも既にあるようだ。
※図84の123 4 のアキは位取りとのことだがほとんど見たことがない。用例はどのあたりだろうか? また、ちょっとわかりにくく、誤植を疑ってしまったのでもう少し桁数を増やして欲しい。

CSS:分割禁止/許容
CSS Text Module Level 3 5.3. Breaking Rules for Letters: the ‘word-break’ property
・word-break:normal
一般的なルールに従って単語を分断する
・word-break:keep-all
単語の中での分断は禁止される。CJKの文字(漢字、かな、カナを含む)は分割されなくなる。
・word-break:break-all
normalでの分断可能部分に加えて、単語の中での分断も許容される。

 今回はここまで。次回はJLREQ 3.1.10のgから。

(2017.8.7)

CSS Text Module Level 3のリンク参照先を10 August 2017のワーキングドラフトに変更しました。

(2017.9.4更新)

JLREQとCSS(2)

2017/07/11

 こちらのエントリは、JAGAT XMLパブリッシング準研究会で今期の研究テーマとして、W3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)と、これに関連してVivliostyleの村上真雄さんたちが提出したW3Cメンバーサブミッション「Web技術を用いた日本語組版の現状」を取り扱っていることに伴い、会員以外の方の意見を広く求めるとともに、記録を残しておく目的で議事録をベースに補足したものを公開するものです。

 間違い、補足などございましたらご意見いただければ幸いです。なお、当ブログはコメント許可制を取っているため、反映に時間がかかります。あらかじめご理解ください。
 方針としましてはW3C文書「日本語組版処理の要件」(JLREQ)を先頭から読んでいき、各要素に対応するCSSが存在するのか、存在するとして実用段階なのか、InDesignなどの組版ソフトではどういった形で機能を実現しているのか(いないのか)、などについて見ています。なお全体に対しての包括的な説明の部分に関しては、細かな部分は次回以降にその部分の説明が出てきた時に掘り下げる、としてスルーしている箇所があります。

 なお、こちらで取り上げております各CSSプロパティはまだドラフト仕様の段階のものも多いため、今現在すぐに使えるものばかりではありません。Webブラウザで使用出来るかどうかはこちらなどでご確認ください。また、電子書籍のRSで使用出来るかどうかは、現在広範に調査した資料がありません。いずれ当研究会の活動として調査を行いたく考えていますが、しばらく時間はかかるかと思います。

JLREQ 2.6 柱とノンブル

 縦組み、横組みそれぞれの柱とノンブルの代表的配置例が示されている。ただし、DTPによるレイアウトが一般化した現在では、ここの例に留まらない様々なレイアウトが行われている。

CSS:柱とノンブル
CSS paged media module level 3で規定されている。
ノンブル、柱の表示指定は「@page{ }」の中に書く。CSSでのページ関連プロパティ指定の基本。
@page :right/@page :left
 左右ページの指定疑似クラス(pseudo-class)。
@page :first
 先頭ページ(扉など)の指定疑似クラス。
@page :blank
 空白ページの指定疑似クラス(改丁などで生じるもの)。
・@bottom-center { content: counter(page) }
 ノンブルの記述方法。@bottom-centerは表示位置指定。
・@top-center { content: “Sample Contents” }
 柱文字の記述方法。この場合は「Sample Contents」が肩文字として表示される。@top-centerは表示位置指定。
表示位置の指定はこちらを参考に。
特定ページのみノンブルを隠すのはclass名を定義して@pageで指定すれば一応可能。

JLREQ 2.6.3 柱及びノンブルの配置方式

 「柱には,両柱方式と片柱方式とがある」

CSS:複数ノンブル(時計数字と通常ノンブルetc)
Page Based Countersでスタイルを指定する
・content: counter(page, lower-roman)
 などでそれぞれのノンブルを指定してやる。漢数字などで表示させることもできる(参考)。
 なお、epub等でよく見られるように複数ファイルを通しでノンブルを振るような仕組みが現状CSSにはない。これは提言があってもよいかも。
font-feature-settings:"onum"
 ノンブルにオールドスタイル字形を使うことができる。他にもさまざまな数字の表示指定が可能。

JLREQ 3.1.1 縦組と横組で異なる約物など

 縦組と横組で形が異なる約物には、以下のものがある。
■句点類と読点類
「縦組では,句点類には,句点[。]を,読点類には読点[、]を使用する.」
「横組で使用する句点類と読点類の組合せには,次の3つの方式がある.」
 コンマ[,]とピリオド[.]を使用する
 コンマ[,]と句点[。]を使用する
 読点[、]と句点[。]を使用する.

■かぎ括弧(始めかぎ括弧[「]及び終わりかぎ括弧[」])とクォーテーションマーク(左ダブルクォーテーションマーク[“] 及び右ダブルクォーテーションマーク[”] 並びに左シングルクォーテーションマーク[‘] 及び右シングルクォーテーションマーク[’])
「縦組では,始めかぎ括弧[「] 及び終わりかぎ括弧[」] を用いる」
「横組では,始めかぎ括弧[「] 及び終わりかぎ括弧[」] に替えて左ダブルクォーテーションマーク[“] 及び右ダブルクォーテーションマーク[”] ,又は左シングルクォーテーションマーク[‘] 及び右シングルクォーテーションマーク[’] を用いる方法がある」
「ダブルクォーテーションマークに似た括弧類にダブルミニュート(始めダブルミニュート[〝] 及び終わりダブルミニュート[〟] )がある.これは,縦組専用の括弧類であり,横組では使用しない.」
※これは最近横組みでの用例が映像分野などでは見られたりする。
「ブラケット(始め大括弧[[] 及び終わり大括弧[]] )と,きっこう(始めきっこう括弧[〔] 及び終わりきっこう括弧[〕] ) ブラケット([ ])を縦組用に変形したものが,きっこう(〔 〕)である.したがって,特別な場合を除き,横組ではブラケットを使用する.」
 これは縦横の明白な使い分けが今ひとつピンと来ない。両方あるような。
 他、長音記号なども縦横でグリフ(字形)が変わる。

JLREQ 3.1.2 句読点や,括弧類などの基本的な配置方法

「読点類,句点類,始め括弧類,終わり括弧類及び中点類の字幅は,半角であるが,これらの約物が漢字等,平仮名又は片仮名と連続する場合は,原則として,それぞれの約物の前又は後ろ(中点類は,その前及び後ろ)に一定の空き量をとることで,結果として全角というサイズになる」
 カギの中のカギ、小カギはUnicodeでは分離されていない。

JLREQ 3.1.4 始め括弧類,終わり括弧類,読点類,句点類及び中点類が連続する場合の配置方法

 句読点や括弧類などの約物が連続した際の組版処理方針に関しての記述がある。このツメ処理はInDesignなどの組版ソフトでは実現できているが、ウェブブラウザや電子書籍ビューアではほとんど実現できていない(電子書籍ビューアのhontoでツメ処理の実装例が見られるが、制作者のCSS指定を反映してツメ処理を行う形ではなく、ビューア側で強制的に処理をする独自実装)。

CSS:括弧類や中点類、句読点が連続する場合などの文字ヅメ文字アケ処理
text-spacing:normal
 CSS Text Level 4で規定されている。normal指定でspace-start allow-end trim-adjacentが適用される。個々のプロパティは別々に指定もできる。
text-spacing:space-start
 段落先頭カギを全角として扱う
text-spacing:trim-start
 段落先頭カギを二分モノとして扱う
text-spacing:allow-end
 行末に句読点やカギが来た際に二分幅になることを許容する
text-spacing:space-end
 行末に句読点やカギが来た際に必ず全角幅として扱う
※W3Cの仕様書に「Set fullwidth opening punctuation with full-width glyphs (spaced) at the start of each line.」とあるがおそらく「Set fullwidth ending punctuation with full-width glyphs (spaced) at the end of each line.」の間違い(space-startと全く同じ説明文が記載されている)。
text-spacing:trim-end
 行末に句読点やカギが来た際に必ず二分幅として扱う
text-spacing:space-adjacent
 行頭行末以外の括弧類を全角モノとして扱う
text-spacing:trim-adjacent
 句読点グリフ間のスペースを縮小する(おそらく括弧と句読点が重なった際などの自動ツメ処理を指しているものと思う)
text-spacing:ideograph-alpha / text-spacing:ideograph-numeric
 和欧間の4分アケ処理指定。ideograph-alpha が英文字、ideograph-numericが数字。

JLREQ 3.1.5 行頭の始め括弧類の配置方法

 行頭括弧類の字下げ量について。以下の3つの方針がある。
「改行行頭の字下げは全角アキ,折返し行頭は行頭に空き量をとらない配置法である天付きとする.」
「改行行頭の字下げは全角半(全角の1.5倍)アキ,折返し行頭の字下げは二分アキとする.」
「改行行頭の字下げは二分アキ,折返し行頭は天付きとする」

 CSS Text Module Level 4 10.1.3にそれぞれの実現方法の記述例がある。

 CSSでの基本的方針として行末に来た全角スペースは自動で取って欲しいという要望が出た。ぶら下がりの対象文字に全角スペースを含める方式がよいのではないか。

CSS:ぶら下げ
hanging-punctuation:force-end / hanging-punctuation:allow-end
 強制的にぶら下げがforce-end、ぶら下げを許容するのがallow-endか

今回はここまで。

(2017.7.11)

プロフィール
Jun Tajima

こちらにて、電子書籍&Web制作を担当しています。
このブログは、EPUB3をはじめとした電子書籍制作担当オペレータからの、「電子書籍の制作時にたとえばこんな問題が出てきていますよ」的な「現地レポート」です。少しでも早い段階で快適な電子書籍閲覧・制作環境が整うことを願って、現場からの声を発信していこうと目論んでおります。

当ブログ内の記事・資料は、私の所属しております組織の許諾を得て掲載していますが、内容は私個人の見解に基づくものであり、所属する組織の見解を代表するものではありません。また、本ブログの情報・ツールを利用したことにより、直接的あるいは間接的に損害や債務が発生した場合でも、私および私の所属する組織は一切の責任を負いかねます。

最近のコメント