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JEPA第11回・12回セミナーまとめ

2012/07/31

 7月24日に飯田橋で行われたおよび、第11回セミナー「EPUB3と文字」および、JEPA第12回セミナー「ISO国際標準と固定レイアウトWS」に参加してまいりました。と申しますか、光栄にもJEPA技術主任の村田真さんにご指名いただき、講師の一人として壇上で話すという人生初の体験をしてまいりました。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございます。ということで今回は第11回および第12回セミナーのまとめです。

JEPA第12回セミナー「ISO国際標準と固定レイアウトWS」

 後から急遽開催が決まった関係で、第11回セミナーと12回セミナーが同じ日に行われ、第12回セミナー「ISO国際標準と固定レイアウトWS」の方が早い時間に行われましたので、ここでも第12回セミナーについて先に書こうと思います。第12回セミナーはIDPF理事の小林龍生さんのご挨拶の後、村田真さんのセッション。2本立てで前後に区切って行われました。

前半:EPUB3のデジュール標準化の状況

 EPUBは2012年に急速な伸びを見せ、2013年にもやはり急速に伸びることが見込まれる、という説明からスタート。「デジュール標準」というのはJIS、ISO、IECのような公的な標準化機関によって制定された標準規格とのこと。EPUBはこれまで、IDPFという業界団体が制定した「フォーラム標準」という位置づけで、これをより認知度が高く、公的機関の文書、特に教科書での採用において必要となる「デジュール標準」へ格上げする道筋が整ったとのお話でした。

 デジュール標準化へ至る道には、標準化を希望する団体が複数存在したことや、フォーラムとデジュールの綱引き、EPUB3の基幹技術であるHTML5やCSS3がまだ完全には定まっていない不安定な状態であることなどさまざまな障害があったようですが、これらはほぼクリアの見通しが立ち、2013年中にはデジュール標準化へ向かうようです。

 これによって、今後は政府調達や教育市場でのEPUB採用が期待できるだろうとのことで、すでにデジタル教科書や問題集の標準化も始まっているとのことでした。

後半:Advanced/Hybrid Fixed Layoutsワークショップ報告

 後半はEPUB3固定レイアウトワークショップについての報告です。
 今回は「Advanced/Hybrid Fixed Layouts」とのことで、より高度で、紙のレイアウトを超えるような固定レイアウトに関してのお話でした。

 まず、EPUBのレイアウトの現状確認の中で、より複雑なページテンプレートを用いたリフローに関するお話がありました。これは、Adobeから提案があったものを仮実装したものがIDPFにはあるとのことだったのですが、まだEPUB3のコアモジュールと見なされてはいない状態で、今後どうなるかも不透明とのこと。

 本番のEPUB3固定レイアウトに関しては、まずは現状の各種固定レイアウト方式、固定レイアウト語彙の説明からだったのですが、これはいわば「おさらい」ですので、詳しくは述べません。こちらなどが参考になるかと思います。
 さて、本番セッションですが、

1. 村田真:Three Types of Digital Comics

 コミックの電子化には、
 ・紙→デジタル
 ・デジタル→紙
 ・デジタルのみ、紙を考えない
 この3つの分類があり、3番目のものではそもそもコンテンツとしての語法が大きく変わってくる、とのお話。ちなみに韓国ではすでにもう3番目のパターンがほとんどになっているとのこと。日本でも遠からずデジタル先行になっていくのでしょうか?

2. Aquafadas:Fixed Layout Reading Experience for Comics, Children Books, Table Books

 フランスのAquafadas社の発表内容の紹介で、レイヤによって日本語版のマンガに他社別売の英訳を電子書籍端末上で重ね合わせる、マンガへのアニメーション効果を重ねあわせるといったようなことや、シーンとショットを別レイヤで定義しておくことで、画面の小さな端末でも快適なコミック閲覧ができる、といったような内容でした。
 これは単に技術面のお話だけではなく、訳やエフェクトを他社が制作して読者が端末上で重ね合わせて読める、といったようにビジネスモデルにまで踏み込んでいるあたりがなかなか面白く感じられました。

3. 集英社:Introduction to the OMF format

 OMFとは「Open Manga Format」とのことなのですが、集英社の作成したEPUBの仕様に乗っ取ったマンガ配信フォーマットということのようです。JPEGを並べただけのBasic.opfの他に、Javascriptですべてを記述したAdvanced.opfという仕様があるとのこと。Basic.opfが電子ペーパー端末用、Advanced.opfがiPadのような液晶タブレット用といったような位置づけでしょうか。同一パッケージ内に双方の文書を格納し、デバイス毎にどちらかを選択して読むというような仕様とのこと。

4. Barnes & Noble:Rendition Mapping

 イメージ画像とHTMLによるリフローを使い分けて表示する方式とのことで、イメージの中に対応するHTMLへの情報を埋め込む方式が「Rendition Mapping」とのこと。これはすでにB&Nの端末で使われている方式のようです。ちょっとモリサワの「MCMagazine」に近い印象を受けました。もちろん「MCMagazine」はEPUBではないわけですが。

5. ソニー:EPUB 3 Rendition selection

 ひとつのEPUB文書の中に複数のパッケージ文書を入れ込む仕様のお話でした。EPUBでは複数のパッケージを同一文書に入れ込むことができるとのことなのですが、これにCSSのメディアクエリを組み合わせることで、サイズの異なる端末用に複数のパッケージを入れておき、自動的に切り替えて表示するといったようなことが可能になるようです。これが実現すれば、iPhoneとiPadの双方に同一パッケージで対応できる固定レイアウトEPUB文書が制作できるようになってくるわけで、なかなか期待感があります。もっともその分制作サイドは大変になりそうですが。

6. 富士フイルム:Rendition Mapping for Manga – Fujifilm Proposal

 マンガにおけるRendition Mappingの実際における発表だったようです。見開きのページはひとつの画面として扱わないと表示が破綻してしまうとのこと。確かにページをまたいだ書き文字などを見ると、そのあたりは想像がつきます。

 といったような説明がありました。
 また、論点として、Javascriptを積極的に使ってEPUB3固定レイアウトの記述をすべきかどうか、HTMLやCSSといったWeb技術を表示に多用するとバッテリー消費が激しくなるため、表示には画像を利用するべきではないか(B&N)、規格策定の優先順位をどうすべきかといったことが上がってきたようです。
 今後、年末までに何らかの成果を出すべく規格策定の動きが始まるとのことで、引き続き要注目です。

JEPA第11回セミナー「~EPUB3と文字~」

 IVS技術促進協議会とJEPAの共同開催という形で行われたセミナーでした。IVS(異体字セレクタ)は電子書籍で使用できるテキスト上で人名漢字などで用いられるような漢字の異体字字形を再現するために期待されているテキストの拡張仕様で、今は電子書籍の立ち上がり時期にあたるだけに関心も高く、結局150人を超える参加者が来場されていたようです。

国語施策と漢字コード:小林龍生

 まずはユニコードコンソーシアムのディレクターで、IDPFの理事でもあるIVS技術促進協議会の小林龍生さんから、JIS、ユニコードなどの変遷と今後の問題点についての基本的な説明がありました。
 最初に、字種/字体/字形の説明から。「学」と「學」は同じ字種だが異なる字体で、さらにその下に細かな字形の差異があるとのお話がありました。情報交換の観点から見た場合、符号化は字種のレベルにとどめるのが理想だが、実際には字体レベルでの包摂/統合は不可避で、ただ字形のレベルにまで踏み込むと本当にきりがないとのこと。
 また、そもそもの字形の揺れ問題の発端は、78JISと83JISの改訂に端を発するのではないかという意見を述べておられ、これは現場サイドとしても良くわかるお話です。

 さらに、表外漢字字体表と印刷標準字体の話の絡みで、策定時期の関係でJIS2000の例示字形には表外漢字字体表が反映されなかった経緯についての説明がありました。これにより、JIS2004で168文字の例示字形変更が必要になったとのことです。この168文字の変更には微細なデザイン差の変更も含むとのことで、字体レベルでの変更は100の符号位置に留まるとのこと。この100符号位置の字形をテキスト上で変えるにはIVSが必要になってくるようです。

 ただ、そうした区別が本当に必要かどうかは、検索の利便性などの観点から、利用者は良く考え、最低限に止めるべきなのではないかとのご意見を述べておられ、これは外字の画像化にも通じる論点ですのでとても共感できます。あまりも多様な漢字の字形差全てを電子書籍上で再現しようとすることは、制作コストにも直結してくる大きな問題と思います。

マイクロソフトが実現する新たな文字の世界:田丸健三郎

 マイクロソフトの田丸さんからの、第一世代Shift_JISからJIS2004対応に至るOSの文字コード対応の歴史次期Windows、OfficeでのIVS対応についてのお話でした。
 さらに基本文字+IVSシーケンスで異体字を表現するIVSの基本的な仕組みや、フォントやアプリケーションがIVSに非対応であっても基本文字は表示されることが期待できるために、完全な文字化けと言ったようなことにはならないIVS技術の特色などに関してもひととおりのご説明がありました。
 また、ユニコードの符号化方式(UTF-8/UTF-16)と符号化文字集合(Unicode 6.0 etc)の関係に関しても説明があり、基本的な部分ですがきちんと押さえておく必要はありますのでなかなか面白く聞かせていただきました。

 マイクロソフトのOSにおける日本語文字コードの変遷は、1982年のMS-DOS2.0におけるShift_JISの採用に始まり、Windows3.1でのマイクロソフト標準キャラクタセット(cp932)採用Windows98以降でのユニコード対応へと進み、Windows Vista以降でサロゲートペアを含むJIS2004に対応したという流れとのこと。

 マイクロソフトは次期WindowsではIVS文字の入力にOSレベルで対応するとのことです。デフォルトでIVSが入力できる状態ではなく、チェックボックスをオンにする必要はあるとのことですが、いずれにせよ外部からデータを受け入れる可能性のある印刷会社/制作会社は、今後IVSが使用された原稿の受け入れ体制を整える必要がありそうです。
 また、Officeでの対応に関しては、次期Office製品でIVSに正式対応するだけでなく、Office2007/2010でもデータ互換のためにOffice IVS Add-inによる移行パスが提供されるとのこと。

 今後電子書籍の時代には、編集者・校正者・作業者が同一の文字環境で作業するような環境を構築し、OSやフォントに起因する字形の揺れをあらかじめ抑止することが、スムーズな作業の流れのために最低限必要となってくるように思います。

DTPデータから電子書籍を制作する際の「外字」問題:田嶋 淳

 田丸さんのあとが私のセッションでした。内容的にはこちらのブログに掲載したものと重複する点が多くありますので詳述はしませんが、InDesignのデータからテキストを抜き出した際に起きる字形変化の理由および、どういったパターンの字形変化が存在するのか、今後電子書籍・印刷データ双方の制作環境はどういった方向性を目指すべきかといった点に関していささか拙いながら述べさせていただきました。

 当日配付させていただいた資料を以下からダウンロードいただけますので興味をお持ちの方はご覧いただければ幸いです。また、epubcafeのページにYoutube動画へのリンクもありますので、あわせてご覧下さい。

 なお、この内容に関連して、小形克宏さんの制作された技術者・ソフトウェア開発者向けのより詳細な資料が、出版デジタル機構ホームページ内「技術部だより」より、近日中にダウンロード可能になります。

 この外字の問題につきましては、「では現状どうすればよいのか」というご質問を何度かいただいたのですが、ソフトウェアを用いて完全に対処することが難しい以上、最後は目視での校正作業に頼らざるを得ないのが現状です。こうした作業を少しでも軽減するために、InDesignの「代替字形」チェックボックスの活用や、スクリプトを用いて内部文字をチェックすることで対処が必要な文字をある程度洗い出すことは可能ですが、いずれにせよ最終的にきちんとした品質を確保するには全文の目視校正作業が不可欠と思われます。

IVSとのつきあい方:狩野宏樹

 株式会社イワタの狩野宏樹さんのセッションで、現状でのIVS対応フォントの状況OSの対応状況IVSを使用する上での基本的な注意点についてのお話でした。

 IVS対応フォントは、小塚明朝Pr6N小塚ゴシックPr6NがInDesign CS4にバンドル提供されたのを皮切りに、2011年1月にイワタから発売された52書体游明朝体Pr6/Pr6N R筑紫明朝Pr6/Pr6NイワタUDゴシック/イワタUD丸ゴシックなど、現状100フォント以上が利用可能になっているとのことです。

 OSとしてはWindowsは7以降で異体字が表示され、Vistaでは異体字は表示できないもののIVSシーケンスが無視されて基本文字が表示されるため、読み取り自体は可能とのこと。XPではIVSの文字自体が文字化けして表示されてしまうようです。Mac OSは10.6以上で表示に対応、10.7以上ではバンドルフォントのヒラギノProNがIVSに対応しているとのことです。

 また、アプリとしてはInDesignはCS4でIVSに対応していますが、IVS文字を親文字とは別々に選択できてしまう仕様のため、IVS文字だけが残ってしまう危険がある点を指摘されていました。また、IVS文字にルビをかけた場合、直前の文字にルビが存在しない場合、IVS文字が化けてしまうバグが現状で存在するようです。直前の文字に全角スペースのルビを振ることで対処療法として回避は可能ですが、将来的に改善を期待したいところです。

 さらに、IVSは漢字のみにしか使えないものであること、IVSが必要な文字がどれなのか直感的な区別が難しいこと、IVSのコレクションにはAdobe-Japan1以外にHanyo Denshiがあり、双方で異体字の重複があること、IVSでは異体字が表示されない場合でも基本字形は表示され、特に文字化けの警告等は表示されないため、InDesign等で文字変化を発見しにくい危険があることなども指摘されており、このあたりは今後の課題として十分な注意が必要そうです。
 加えて、フォント側として全てのIVS仕様文字への対応が求められるわけではないため、フォントが目的の異体字に対応していなければ基本字形に変化してしまうといった状況が起こり得るとのこと。

 さらには、IVSとGSUBを併用することは避けるべきで、IVSならIVSで統一すべき、とのお話もあり、本格的な運用までにはまだ若干の課題が残っているようです。

(2012.7.31)

紙で読みますか? 電子で読みますか?

2012/05/08

 電子書籍の話題も、最近は大分一般認知されてきた感があります。このごろは電車の中でタブレットを操作している人をちらほら見かけるようになりました。そのうちのどれだけの人が電子書籍を読んでいるのかは分かりませんが、ひところに比べれば電子書籍の読者も増えてきているのは間違いありません。しかし、紙の書籍の読者の数とでは、比較対象にもならないのが現状とも思います。
 正直、自らを省みても、こんなブログを書いていながらほとんどの本を紙で買って読んでいます。まだまだ電子書籍は「紙の書籍」を押しのけて買わせるだけの魅力は持っていないように思えるのです。このもやもやした 紙の書籍>電子書籍 な感じを払拭しない限り、電子書籍の大規模普及は難しいようにも思えます。個人的には全ての書籍が電子書籍に置き換わる必要はなく、状況に応じて紙の書籍と電子書籍を選んで読める環境があれば良いとは思っていますが、現状では「電子書籍は選択肢に入ってこない」事実をきちんと認識しておく必要はあるでしょう。

 そこで今回は、紙の書籍/電子書籍双方の持つ特性をざっと列挙し、電子書籍の普及にはどういったファクターが必要になるかを考えてみました。

1 携帯性/収納性 電子:○ 紙:×

 かさばらないことは、現状ですでに期待できる電子書籍の大きなメリットです。旅行などの際には荷物を減らす意味で電子書籍を選ぶインセンティブがすでに存在しているように思います。このアドバンテージをさらに推し進めるために必要となるのはまず、「ラインナップの拡充」、次に「異なる電子書店をまたいだタイトル検索システムの整備」でしょう。読みたい本が電子化されていなかったり、例え電子化されていてもどこで売られているのかすぐに見つけられなければ、多少の荷物になるのを覚悟して紙の書籍を選ぶことになります。
 ラインナップの拡充については各出版社・制作会社の対応が待たれるところですが、出版デジタル機構等の登場もあり、だいぶ出版社の参入障壁も低くなってきているように思いますので、これからの展開に期待したいところです。制作サイドとしても、次世代電子書籍規格の本命であるEPUB3に対応した制作ソフトもそれなりに出揃ってきた感がありますし、EPUB3対応のビューアもまだ縦書きなどの日本語表現に一部難があるものが多いとはいえ出てきてはいますので、快適に電子書籍が作れるようになるまでもう少しといったところです。
 異なる電子書店をまたいだタイトル検索システムについては、「OPDS※1」という規格が存在しています。これは電子書籍の書誌情報をオープンに流通させるためのもので、こうした仕組みがほとんどの電子書籍タイトルで使えるようになれば、「探しにくさ」の問題はほぼ解消されるものと思います。すでにO’Reilly Mediaや達人出版会など、対応をはじめている出版社も存在するようです。旅先などでスマートフォン等から気軽に読みたい本を探し出し、簡単に購入できるようになるまであと一歩といったところでしょうか。

 また、旅行などでなくても、普段の業務の中で大きく厚い紙の書籍を何冊も持ち運ぶ必要があった職業の人々にとって、iPad等で楽に資料を持ち運べることの意義は確実に存在します。こちらは特に専門書や教科書といった分野で求められる部分でしょう。Amazonがアメリカで展開している教科書の電子レンタルサービス「Kindle Textbook Rental※2」は、このあたりを狙ったものと思います。一般にアメリカの教科書は日本のそれより重くて厚いため、こうしたサービスにニーズがあると見込んだようです。状況の異なる日本の教科書市場にそのまま輸入できるモデルではないと思いますが、こうした動きが出ていること自体は注目して良いように思います。
 一般の読者にとっても、書棚で場所を取らないことには決して小さくはない意味があります。これは、「自炊」(個人で紙書籍をスキャニングし、電子化する行為)によって蔵書をデジタル化している人々が多数いることからも推測できるように思います。必ずしも個人レベルで敷居が低いとは言えない「自炊」をしてまで電子書籍を求めている人がそれなりの数存在することは、電子書籍の潜在ニーズがきちんと存在していることの何よりの証です。諸外国に比べて狭い家に暮らさざるを得ない日本人にとって、蔵書が居住スペースを圧迫しないことにはそれなり以上の意味があるということでしょう。ただ、すでに「自炊」という電子書籍の入手手段が存在している以上、商業販売する電子書籍にはそれを越える価値が求められることも忘れてはいけないようにも思います。

2 モノとしての充足感 電子:× 紙:○

 紙の書籍には問答無用のモノとしての充足感があります。お金を払って「モノ」を手に入れ、満足感を得る。私たちはこのプロセスに子供の頃から慣れ親しんでおり、お金を払っても実体のない電子データのみしか手元に残らなければどうしても不満は残ります。これはこれまで長期にわたってWebを通じて刷り込まれてきた「電子データ=無料」という図式による部分も大きいようにも思えるのですが、その呪縛を脱するために電子書籍という新しい形式が必要になる、との意見にはなかなか説得力があります。
 一方で、現状の電子書籍で充足感が得られにくい理由は「モノとしての歴史や作り込みがまだ全然足りていない」ことにも求められるように思えます。今販売されている紙の書籍が実は長い歴史の中でふるい分けられ、「読みやすい」とされた大きさの紙に、同じく「読みやすい」とされたフォントを用い、紙書籍の読みやすさを日々追求している組版のプロによって制作されてきたパッケージ製品であることを忘れるべきではありません。また、カバーの装丁などデザインに関しても、少しでも読者の目にとまりやすいように配色やタイトル文字のサイズ、紙質に至るまで考え抜かれて制作され、店頭に並べられているわけで、こうした要素が電子書籍化によって幾分かでも失われるのなら、入手の際の充足感に不満を感じても不思議ではありません。今日書店で目にする紙の書籍は、カバーひとつを取ってみても実に多様な印刷方式・デザインで制作されており、こうしたパッケージの魅力を電子書籍で完全に再現することは決して簡単ではありません。
 電子書籍でこの「充足感」を少しでも補足するためには、紙の書籍では得られない電子書籍ならではの要素をどう盛り込めるかがカギになってくるように思います。例えばカバーひとつを取ってみても、物理的に印刷するわけではない電子書籍では「多種類のカバーバリエーションを用意して読者に選んでもらう」といった展開が紙書籍より手軽にできますし、音声や動画といった紙書籍では盛り込みようのないファクターも電子書籍なら盛り込むことができます。

 個人的にはこの部分は、1冊の本の価格のどれだけを「紙で読むというカタチ」への思い入れに対して支払っているのかにも関連しているのではないかと考えています。小説などのカタチへの思い入れが強くなるジャンルではモノとしての充足感に強い不満を感じ、情報を買う意味合いの大きいビジネス書や専門書ではそこまでの不満は感じにくいのではないでしょうか。

3 検索性 電子:○ 紙:×

 検索システムとの相性の良さは、電子書籍の本来持っている大きなメリットです。これは、「電子辞書」がすでに単独製品として成功していることからも容易に理解できます。これは必要な部分のみを拾い読みすることの多い専門書では特に強く求められる部分で、必要な文献を短時間で的確に探し出せることは、紙の書籍よりも電子書籍を選ばせる大きなインセンティブになるものと思います。さらには1冊の内部にとどまらない、類書や参考文献へのリンクを含めた多彩なインデックスの仕組みが構築されれば、この分野での電子書籍の広い普及に繋がっていくでしょう。書籍内部の索引は現状のEPUBではまだ公式の仕様が策定されていない分野で、現在議論が進行中です。統一仕様であることが書籍をまたいだ索引検索の条件になってくるようにも思いますので、正式な仕様策定を待ちたいところです。
 専門書分野と切っても切れない深いつながりを持つ図書館サイドのプロジェクトとしては、国立国会図書館の「国立国会図書館サーチ※3」というデータベース横断検索サービスがすでに稼働しはじめており、紙書籍を含めて学術論文集や地方図書館の蔵書情報などが検索できるようになってきています。また、図書館と個別契約を結び、蔵書をスキャンしてデジタル化しようとしたGoogleのプロジェクト「Google Book Search Library Project」も、巨大なデジタルライブラリの構築を目指すという意味で最終的には同じ方向性を目指していると見られます。ただ、「Google Book Search」に対して今アメリカで巻き起こっている著者/出版社を巻き込んだ大規模な訴訟に見られるように、こうした「検索の利便性」は「著作権」とぶつかる部分があり、どこかで収益モデルの再調整が必要になってきます。
 一旦はGoogle側が引いたようにも見えたGoogle Book Searchの和解問題は今年に入って再燃※4しており、予断を許さない状況です。これは決して「対岸の火事」ではないため、しばらくは注視しておく必要がありそうです。

4 保存性・独立性 電子:× 紙:○

 紙の書籍は独立したパッケージメディアですので、例え子供時代に買ったものであっても、紙が傷んでいなければ十分に読むことができます。一方で電子書籍は基本的には端末機に依存する消費型コンテンツであり、その「賞味期限」は長いとは言えません。また、友人に貸したり※5、古書店に売ったりするような、紙の書籍なら当たり前にできる行為も基本的にできません。O’Reillyの技術書など、一部、DRM(コピーガード)を適用せずに販売している電子書籍※6などでは友人に渡すことは可能ですが、販売形態として一般的ではありません。また、例えDRMフリーのコンテンツであっても、EPUB3のようなフォーマット規格自体の「賞味期限」もかなり短いことが予測できるため(ここ10年でどれだけのデジタル規格が現れては消えていったか考えてみてください)、やはり紙の書籍と同等の「賞味期限」は保ち得ません。これを考えると、電子書籍の長期的な価値は紙の書籍には及びません
 これを多少でも緩和するためのひとつの回答が、AmazonのKindleや紀伊國屋書店のKinoppyといったようなサービスでの「クラウド上にある電子データへの自由なアクセス権を売る」というモデルです。データはユーザーIDに紐付けされており、ユーザーは好きなデバイスからそれを読むことができます。これであれば少なくとも端末機が壊れたら読めなくなるという短期的なリスクの問題は解決できます。高価な専門書等を電子書籍で販売するには、当分はこの考え方が必須になるように思います。ただ、販売会社が「業務撤退」を選んだ場合、これまで読めていた本が一気に読めなくなることも考えられます。このあたりの問題に関しては、こちらのエントリーが参考になります。
 もうひとつの回答は、「消費型コンテンツ」であることを前提に紙の書籍よりも安く売ることですが、これをしてしまうと、結果的に紙の書籍の価格も下げざるを得なくなるのではないかと思われるため、出版社が現時点で躊躇せざるを得ないのは理解できます。
 個人的にはここの問題は「紙の書籍と少しでも違った商品として売る」ことでしか解決できないのではないかと思っています。「短編集を解体して一篇ずつ売る」、「ビジネス書に多数の動画コンテンツを内包して売る」といったような展開です。同じ商品が紙の書籍と電子書籍で売られていれば当然比較されますが、少しでも違う商品であればそもそも比較の対象になりにくいものと思います。
 一部の専門書系出版社が「情報提供サービス」への方向性を模索しているのも、このあたりの問題への回答のひとつでしょう。

5 表現力 電子:○ 紙:×

 映像や音声との融合といったリッチコンテンツへの発展性、リンクなどを通じた外部のコンテンツとのシームレスな連携は、紙の書籍にはない電子書籍ならではの大きなメリットです。
 ここに求められるものはどういったタイプの書籍なのかによって大きく違ってきますし、アイデア次第で売れる売れないが大きく違ってきそうです。また、紙の書籍と比較して同程度の価格を維持するためにも、この部分がカギを握るでしょう。
 まず、小説やビジネス書などの文字中心の読み物では文字の拡大縮小音声読み上げといったユニバーサルアクセス的な部分の拡充を期待します。このうち、文字の拡大はリフロー型書籍ではすでに可能ですが、ビューア側が実装するべき最大文字サイズがどの程度のポイント数なのかなどについては、まだ一般的な回答が出ていないように思います。また、音声読み上げの本格普及はこれからの課題で、これが当たり前になれば視覚障害者や老眼等で活字を追うのが辛くなってきた層へのアプローチ材料になるだけでなく、忙しいビジネスマンが電車などの移動中にオーディオブック的に「聞く」といった展開も考えられるため、紙の書籍と同程度の価格でも電子書籍を選ぶインセンティブになり得るのではないでしょうか。
 EPUB3は、「DAISY」という視覚障害者などに向けた音声読み上げ規格を取り込んで成立していますので、音声読み上げはソフトウェアの対応状況さえ整えば比較的早期に実装できる機能であるように思います。今後の展開に期待したいところです。

 さらに、前述したようにコンテンツに動画や音声を埋め込めることは、紙の書籍では考えられなかった表現の可能性を生みます。例えば動きの説明に分解写真ではなく動画を使えば、教科書等でとてもわかりやすい説明ができそうなことは簡単に理解できますし、ニュース的なコンテンツに「ライブ感」を与えるために音声を埋め込むといった手法も有効でしょう。また、外部サイトと電子書籍を連携させることで、さまざまな相乗効果を生むことも期待できそうです。
 コミックなどの分野ではニコニコ静画の試みのように「ソーシャルアクセス」などと関連させて、新しい面白さを創出できるかどうかがひとつのカギになるのかもしれません。

 ちょっとまとめてみます。まず、1携帯性/収納性および3検索性は電子書籍が紙の書籍に対して持っている大きなアドバンテージですが、一方で2モノとしての充足感は電子書籍では得られにくく、さらに4で述べたように賞味期限が短く、友人に貸すことや読み終わった後に古書店に売ることもできない電子書籍は紙の書籍と比較して同一価格では売りにくい面がある。このギャップを埋めるためには5の表現力で述べたように「紙の書籍ではできなかった」付加価値がカギを握りそうであり、場合によっては「全く違った商品」として供給する選択肢もある、といったようなところです。

※1 参考 OPDS:http://d.hatena.ne.jp/tatsu-zine/20110118/1295329201
※2 参考 Kindle Textbook Rental:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1107/19/news022.html
※3 国立国会図書館サーチ:http://iss.ndl.go.jp/
※4 参考 Google Book Search裁判について:http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1112/14/news076.html
※5 参考 Lending Kindle Books:http://www.amazon.com/gp/help/customer/display.html?nodeId=200549320
※6 参考 DRMフリーの電子書籍:http://www.oreilly.co.jp/editors/archives/2011/05/ann-ebook-drm-free.html

(2012.5.08)

「文書構造」と「視覚表現」を分離する

2012/04/25

 これから書くことは、すでにあちこちで語られていますし、おそらくWebサイドから電子書籍に行こうとされている方からしてみれば「何をいまさら」感もあるかと思うのですが(そういう方はどうぞ読み飛ばしてください)、これまでDTPソフトしか触ったことのない印刷側の人間からしてみれば「最初の壁」になる可能性のある部分ですし、実際自分もしばらく乗り越えられなかった経験もありますので、あえて重複を恐れずに書いておきたく思います。これはおそらく、今後の電子・紙書籍双方の制作に関わってくる重要な考え方のひとつです。

「文書構造」と「視覚表現」の違いとは

「見出し」と「本文」のみの文書の例

「見出し」と「本文」のみの文書の例

 例えば、InDesignのドキュメントで「見出し」に続いて「本文」が書かれており、それぞれに段落スタイルが設定されているとても単純な文書モデルを考えてみてください。この場合、「文書構造」に当たるのは「見出し」および「本文」です。一方で、「M-中ゴシックBBB12ポイント」および「リュウミンL-KL9ポイント」などは「視覚表現」に相当します。行揃え方向、行頭インデントの有無、文字カラーなども同じく視覚表現です。
 従来のDTP制作フローでは、この2つの概念は、特に意識することなく混在していました。InDesign内の段落スタイルシートの名称が「見出し」であろうが「M-中ゴシックBBB12ポイント」であろうが、最終的な印刷物の見た目は何ら変わりませんし、特定の判型・文字サイズの印刷物が最終到達点である限りにおいて、それで特に問題はありませんでした。しかし、電子書籍を制作するにあたっては、おそらく真っ先にこの部分の意識改革が求められてきます。
 電子書籍で用いられるXML構造化文書のタグ名および属性名は、可能な限り「視覚表現」ではなく「文書構造」を表すものでなくてはなりません。すなわち、「M-中ゴシックBBB12ポイント」を表すタグ/属性名ではなく、「見出し」を表すタグ/属性名で命名されなくてはならないのです。では、「視覚表現」はどうするのか。これは、別に用意したCSSやXSLといった「スタイルシート」に記述します。

読まれる環境は1パターンではない

環境ごとに最適化された視覚表現を実現

 なぜこうした考え方が必要になってくるのでしょうか。メリットは多々ありますが、わかりやすいところで説明しますと、同じ文書をタブレットと携帯電話で読むことを考えてみていただきたく思います。この2つのデバイスでは、当然ながら可能な視覚表現の幅に差があります。特定のタブレットの画面サイズに最適化した形でフォントサイズを決めてしまうと、携帯電話ではとても読みにくいことになってしまうかも知れません。また、タブレットで選べる書体が携帯電話で選べるとは限りません。タブレットでなら縦書きで読めても、携帯電話では不可能かも知れません。こうした視覚表現の幅の差の問題は、メーカーの違うタブレット同士でも起こりえますし、それどころか同じタブレット内で異なるアプリケーションで閲覧した場合でも当然起きてくる問題です。
 そこで、文書には「文書構造」のみを記述しておき、それぞれの環境ごとに用意したスタイルシートと組み合わせることで最適な「視覚表現」を得る、といった考え方が出てくるわけです。こうした考え方は、異なるPC・ブラウザで同一の文書を閲覧することが前提とされるWebではすでに馴染み深いものです。HTML4で構造と表現の混在が問題とされ、後継規格のXHTMLおよび現在主流となりつつあるHTML5では「視覚表現はCSSで記述すること」が強く推奨されている現状があります。HTML5とCSSを規格として取り込んでいるEPUB3でも、少なくともプロが作る電子書籍では当然こうした考え方をきちんと意識して作ることが求められてくるでしょう。
 もちろんメリットはそれだけではありません。きちんと構造化され、表現と切り離された簡潔な文書は、例えば「電子書店で書籍のタイトル名と見出し名だけをファイルから自動取得して表示する」といったようなことを容易にしますし、「注」をそれ専用の構造を表すタグで記述しておけば、ビューア側の実装と組み合わせてポップアップ表示するといったような表現も可能になってくるでしょう。また、将来的に次世代の電子書籍フォーマットに移行する際に、文書の流用を容易にすることにも繋がります。

既存電子書籍フォーマットの弱点

 こうした視点で見てくると、既存電子書籍フォーマットの弱点がちらちらと見えてきます。以下は既存電子書籍フォーマットの代表的な存在のひとつである「XMDF」を用いて、上記モデルと同様のものを仮制作してみた例ですが、ご覧の通り完全に文書構造と視覚表現が混在してしまっています。

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<p top_line_indent="1em" top_line_indent_bracket="0em" align="justified_left" bracket="「〈《【『〔([{">本文テキスト入る 本文テキスト入る 本文テキスト入る 本文テキスト入る 本文テキスト入る 本文テキスト入る</p>

 XMDFでも「文章構造スタイル(structureタグ)」および「文字スタイル(fontタグ)」を用いることで文書構造と視覚表現が分離した文書を作成することは可能ですが、これもHTMLで言えば全て<div>タグおよび<span>タグを用いてclass名で制御している状態に当たるため、少々不完全と言わざるを得ません。「見出し」だけを取り出したい、といったニーズに応えられる仕様ではないと思います。また、なにより文書構造に視覚表現が混在した表記を「許す」仕様になっていること自体が次世代を睨んだ構造化文書としては問題があるのではないでしょうか。

 また、いわゆる「ワープロ感覚で誰でも簡単に作れる」電子書籍作成サービスがプロ向けに使えない理由もここにあります。以下はある簡易EPUB作成ソフトの自動生成タグですが、これが可読性に欠け、後から変換する際に問題となりそうなことは一読してわかることと思います。

<body>
<div><span class="fontA13AAC48-F76C-47E3-A783-C53D961CCFEF">本文本文本文本文</span></div>
<div> </div>
<div><span class="fontF2CF1A56-85BF-4B0F-B347-F11EA7E06BAF">本文本文本文本文本文</span></div>
<div> </div>
<div><span class="fontD86BC4AF-3AED-4D5B-8398-14DEDC83DA22"> </span><ruby class="ruby7BA61523-3FDE-42E9-8944-607C7ED6B2BD"><span class="fontF8A0DA5C-A523-4E98-89C9-554A66CA705C">本</span><rt class="rtA27B8F1C-73D1-46C5-8A77-2D3F5873B756">ほん</rt></ruby><ruby class="rubyAAA4353C-CA4C-4467-AF72-1952640EDDE1"><span class="fontDADF4999-C565-4C66-A938-541DA782B8BE">ぶん</span><rt class="rt771A818A-AC30-4230-BC7D-B2ECC9062AED">ぶん</rt></ruby><span class="fontFA8A96AC-F495-4DE0-9968-5DF6C51DBA15">本文本文本文本文本文</span></div>
</body>

具体的には何を意識すれば良いのか

 最後に、EPUB3(HTML5)の文書を作成する際に、作成者側が具体的にどういった点を意識する必要があるのかについて一例をあげておきたく思います。

 まず、<h1>〜<h6>(見出し)、<p>(本文)、<blockquote>(引用文)など、あらかじめ意味づけされたタグが用意されているものに関してはできるだけそちらを使うべきでしょう。そういったタグがなく、独自に属性値を定義しなくてはならない場合、例えば本文の1行だけをゴシック体・赤文字にして強調したい場合には、

<p style="font-family:'MS Pゴシック';color:#FF0000;">本文テキスト本文テキスト本文テキスト</p>

といった形で文書内にフォント名・文字色を直書きするような記述は避けるべきと思います。「MS Pゴシック」及び文字色は「視覚表現」に相当するからで、このフォント・文字色が使えない環境では適切に表示できないことになります。また、

<p class="mspgothic">本文テキスト本文テキスト本文テキスト</p>

と記述するようなパターンも(先の例よりはマシですが)避けるべきでしょう。「MS Pゴシック」が使えない環境で混乱の元となります。

<p class="highlight">本文テキスト本文テキスト本文テキスト</p>

といったような「文書構造」に近い属性名でXHTMLのclass定義をし、CSSには

p highlight {font-family:'MS Pゴシック';color:#FF0000; }

と記述するようなパターンを選ぶのが適切かと思います(実際には p highlight {font-family:'ヒラギノ角ゴ Pro W3','Hiragino Kaku Gothic Pro','メイリオ',Meiryo,'MS Pゴシック',sans-serif;} といったようにフォント名を連記することになるでしょう)。

 また、校正時のプリント出力で文字揃え等が多少狂っていたとしても、それを手直しするために「文書構造」を変えることには慎重になるべきです。実際に電子書籍を読む読者が、必ずしも作成環境と同じ表示特性のデバイスで読むわけではないことを心に留めておくべきと思います。

 なお、文章物のEPUB3文書で具体的にどういった記述をするのが適切かについては、「epubcafé」で参照できる「JBasicマークアップ指針」や、「EPUB日本語基準研究グループ」の「EPUB3日本語ベーシック基準」などが参考になります。

(2012.4.25)

プロフィール
Jun Tajima

こちらにて、電子書籍&Web制作を担当しています。
このブログは、EPUB3をはじめとした電子書籍制作担当オペレータからの、「電子書籍の制作時にたとえばこんな問題が出てきていますよ」的な「現地レポート」です。少しでも早い段階で快適な電子書籍閲覧・制作環境が整うことを願って、現場からの声を発信していこうと目論んでおります。

当ブログ内の記事・資料は、私の所属しております組織の許諾を得て掲載していますが、内容は私個人の見解に基づくものであり、所属する組織の見解を代表するものではありません。また、本ブログの情報・ツールを利用したことにより、直接的あるいは間接的に損害や債務が発生した場合でも、私および私の所属する組織は一切の責任を負いかねます。